魅惑の深海パーティの片隅に

In the corner of enchantment under the sea

「サウスパーク 無修正映画版(R-15)」

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貧乏白人ばかり住むコロラド州の田舎町「サウスパーク」を舞台に、スタン、カイル、カートマン、ケニーの小学生4人組がFUCKやらASSやらSHITやら下品な言葉を連発する超過激風刺アニメの劇場版。原題“Bigger,Longer & Uncut”は「無修正映画版」と「デカくて長くて剥けてない」のダブルミーニング


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主人公4人は道端で寝てた浮浪者を買収し、オナラとファックだけが持ちネタであるカナダ人のコメディアン、テレンス&フィリップ主演のR指定映画「燃えよコウモン」に潜り込むことに無事成功。大人の観客はあまりに下劣な内容と長尺(3時間超え)に耐えかねて劇場を後にするが、ツボに入った4人は小学校で映画の内容や新しく覚えた罵倒語を言いふらす。


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結果テレンス&フィリップは学校で大流行、子供たちは親も真っ青の罵倒語を連発。映画内のギャグを真似してオナラに火をつけたケニーは大火傷を負ってしまい病院に運び込まれるが、医師が心臓とポテトを入れ違えたため死んでしまう。


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そして地獄(サウスパークの世界ではモルモン教徒しか天国に行けない)に堕ちたケニーが目にしたのはサタンとゲイカップルのサダム・フセインだった。


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子どもたちの変貌にカイルの母親をはじめとするPTAのクソババアどもは大激怒。議論は「カナダが悪い!」「テレンス&フィリップは処刑!」とエスカレートし、結果アメリカとカナダは全面戦争に突入する...


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サウスパークの魅力は度を超えた平等精神にあると思う。宗教、人種、ゲイ、レズ、身障者、戦争等なんでも等しくネタにし、臭い物に蓋をする社会に中指を立てる。著名人に対しても一切容赦せず、「Windows98が使えねぇ!」とビル・ゲイツは射殺され、公開当時現役バリバリのイラク大統領だったサダム・フセインは地獄でサタンとfudge packerに興じる。TVシリーズでも多数のセレブを殺した。


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基本的に怖いもの知らずな製作陣だが、ムハンマドにクマの着ぐるみを着せて登場させた200話記念回では、偶像崇拝を禁じるイスラム教の過激派から殺害予告を受けるなど騒動になった。


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実は本作はミュージカル映画であり、劇中歌「ブレイム・カナダ」はアカデミー歌曲賞にノミネートされている。下手なミュージカル映画にありがちな「歌で物語が停滞する」ことが一切無いのも凄い。個人的に好きなのは「アンクル・ファッカー」と「カイルの母ちゃんはビッチ」、「レジスタンス」も聴きかえす度テンションが上がる。


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クライマックスではサタンと手を組んだサダム・フセインが地獄から参戦。アメリカVSカナダの全面戦争はラグナロクに突入し「プライベート・ライアン」さながらの地獄絵図が展開するが、そんな最終戦争を「汚い言葉」でもって終結させるラストにはバカバカしさを超えた感動がある。


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最近話題の「表現の自由」をテーマにした政治的な内容でありながら説教臭さが無く(あまりにバカなので)、何よりPTAの口うるさいババアがいかにクソであるか再確認できる素晴らしい映画だと思う。


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